産業の活性化を促し、中小企業の再挑戦を支援する「事業再構築補助金」。公募により、第一次から第十次まで実施され、補助金を活用して事業の再構築に挑戦しましょう。
事業再構築補助金とは?
「事業再構築補助金」は、新しい市場への進出や業種の転換、事業の再編成、国内への回帰など、大胆な事業再構築に意欲を持つ中小企業を支援する補助金です。
第10回公募では、コロナ禍や物価高などにより依然として業況が厳しい事業者への支援として、「物価高騰対策・回復再生応援枠」を措置することに加え、産業構造の変化により事業再構築が求められる業種・業態の事業者への支援として「産業構造転換枠」、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーン及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)への支援として「サプライチェーン強靱化枠」、さらには成長分野への事業再構築を支援するために売上高等の減少要件を撤廃した「成長枠」を新設するなど、大幅な見直しを行っています。
詳しく事業再構築補助金事務局のホームページをご覧ください。
事業再構築補助金事務局コールセンター
受付時間:9時から18時(日・祝日を除く)
電話番号:<ナビダイヤル> 0570-012-088
< IP電話用 > 03-4216-4080
通常枠の概要
「通常枠」とは、事業再構築補助金の一般的な枠のことであり、中小企業卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠に該当しない補助金のことです。通常枠は、要件が緩やかである反面、補助金額は比較的少なめです。
以下の条件を満たす場合に事業再構築補助金の通常枠を申請することが可能です。
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1〜3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。 ・もしくは、2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること。 ※売上高減少要件を満たさなくても、付加価値額減少要件を満たす場合には申請可能です。
- 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む。
- 事業再構築補助金を受けるためには、認定経営革新等支援機関との事業計画策定が必要です。補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関も参加して策定する必要があります。また、事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%以上の増加を見込む事業計画を策定する必要があります。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。
通常枠の補助額と補助率
新たな挑戦を支援する。新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等に対する補助金枠
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
20人 | 100万円〜2,000万円 | 中小企業者・個人事業者 2/3 6,000万円超は1/2 |
21〜50人 | 100万円〜4,000万円 | |
51〜100人 | 100万円〜6,000万円 | 中堅企業等 |
101人以上 | 100万円〜8,000万円 | 1/2 4,000万円超は1/3 |
通常枠は、要件が緩やかである反面、補助金額は比較的少なめです。
公募要領では、特に補助金返還の制度について記載はありません(売上高10%要件・売上高構成比要件を達成できなかった場合に補助金を返還する必要はありません)。ただし、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に違反した場合は、返還を求められる可能性があります。
※この他、不採択、交付取消、財産処分の場合の返還、収益納付等が発生する可能性もあります。
大規模賃金引上枠の概要
「大規模賃金引上枠」は、多数の従業員を雇用しながら、継続的な賃金引き上げと生産性向上に取り組む中小企業を支援する制度です。最大1億円の補助金が支給されます。もし「大規模賃金引上枠」で不採択となっても、「通常枠」での審査をいたします。
通常枠の申請要件に加え、以下の1及び2を満たすこと
- 1 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
- 2 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
大規模賃金引上枠の補助額と補助率
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
101人以上 | 8000万円超〜1億円 | 中小企業者 2/3 6,000万円超は1/2 中堅企業 1/2 4,000万円超は1/3 |
回復・再生応援枠の概要
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等を対象とした「回復・再生応援枠」を引き続き設け、補助率を引き上げます。この枠では、主要な設備の変更を求めず、事業再構築指針の要件を緩和しています。「回復・再生応援枠」で不採択となっても、「通常枠」で再審査し、加点の上で審査を行います。
以下の通常枠の申請要件を満たす必要があります。
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、対2020年同月比または2019年同月比で30%以上減少していること。
- 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け、再生計画等を策定していること。
回復・再生応援枠の補助額と補助率
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円〜500万円 | 中小企業者・個人事業者 3/4 |
6〜20人 | 100万円〜1,000万円 | |
21人以上 | 100万円〜1,500万円 | 中堅企業等 2/3 |
最低賃金枠の概要
最低賃金の引上げにより資金調達が困難な特に業況の厳しい中小企業等を対象に「最低賃金枠」を設け、補助率を引き上げます。この枠では、事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めず、加点措置を行います。また、「回復・再生応援枠」に比べて優遇される採択率があります。不採択となった事業者については、通常枠で再審査いたします。
「通常枠」の申請要件に加え、以下の①または②のどちらかを満たすことが必要です。
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、2020年または2019年の同月比で30%以上減少していること。
- 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け、再生計画等を策定していること
- 2020年10月から2021年6月までの期間中、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が、全従業員数の10%以上になっていること。
最低賃金枠の補助額と補助率
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円〜500万円 | 中小企業者・個人事業者 3/4 |
6〜20人 | 100万円〜1,000万円 | |
21人以上 | 100万円〜1,500万円 | 中堅企業等 2/3 |
グリーン成長枠の概要
グリーン成長枠」は、グリーン分野での事業再構築に取り組む中小企業等を対象にしており、補助上限額を最大1.5億円まで引き上げます。この枠では、売上高が10%以上減少している必要はありません。ただし、「グリーン成長枠」で不採択となった場合は、通常枠での再審査を希望される事業者は、売上高等の減少要件を満たすことを示す書類を提出する必要があります。
- 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること(補助額3,000 万円超は金融機関も必須)
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
- グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成(※)をあわせて行うこと
(※)従業員の10 %以上が年間20 時間以上の外部研修又は専門家を招いたOJT 研修を受けることが必要となります。
グリーン成長枠の補助額と補助率
補助額 | 補助率 | |
---|---|---|
中小企業者 | 100万円〜1億円 | 1/2 |
中堅企業等 | 100万円〜1,5億円 | 1/3 |
事業再構築補助金では、1事業者につき支援を受けることが出来る回数は1回に限られますが、グリーン成長枠については、特例的に、過去支援を受けたことがある事業者も再度申請することを可能とし、採択された場合には支援を受けることが出来ることとします。但し、支援を受けることができる回数は2回を上限とします。
通常の申請に加えて、以下の2 つの資料の提出が必要です。
- 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であることの説明資料
- 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることの説明資料
→通常の審査に加え、一定の減点を受けたうえで、これらの資料ついても考慮したうえで採否を判断します。
緊急対策枠の概要
コロナ禍において、原油価格や物価の高騰などの予期せぬ経済環境の変化により影響を受けている事業者を支援するため、「緊急対策枠」を設けます。この枠では、補助率を引き上げるなどの支援措置を講じ、事業再構築指針の要件に関しても緩和されます。また、緊急対策枠での不採択となった事業者については、加点の上で通常枠で再審査を行います。
- 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること(補助額3,000万円超は金融機関も必須)
- 足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等(※1)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。
- また、コロナによって影響を受けていること(※2)電子申請時に、コロナによって受けている影響を申告することが必要となります。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
緊急対策枠の補助額と補助率
従業員数 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円〜1,000万円 | 中小企業3/4 ※1 |
6〜20人 | 100万円〜2,000万円 | |
21〜50人 | 100万円〜3,000万円 | 中堅企業2/3 ※2 |
51人以上 | 100万円〜4,000万円 |
(※1) 従業員数5人以下の場合、補助上限額が500万円を超える部分については2/3を支援します。 従業員数6~20人の場合、補助上限額が1,000万円を超える部分については2/3を支援します。 従業員数21人以上の場合、補助上限額が1,500万円を超える部分については2/3を支援します。
(※2) 従業員数5人以下の場合、補助上限額が500万円を超える部分については1/2を支援します。 従業員数6~20人の場合、補助上限額が1,000万円を超える部分については1/2を支援します。 従業員数21人以上の場合、補助上限額が1,500万円を超える部分については1/2を支援します。